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業務効率が劇的向上!メリットがわかるローコード開発の成功事例5選

更新日:2025/09/09

DX化を推進するにあたって、ローコード開発を視野に入れる企業は少なくありません。しかし、便利そうではあるものの具体的な活用方法がイメージしにくい方も多いのではないでしょうか。この記事では実際にローコード開発によってDX化に成功した事例を取り上げ、導入検討の手助けとなることを目指します。

成功への近道!ローコード開発とは

ローコード開発とは、少ないコード記述でアプリやシステムを迅速に構築できる開発手法です。DX推進や人材不足解消の切り札として、多くの企業が導入を進めています。

まずは、ローコード開発の基本知識を紹介します。

ローコード開発の基本

ローコード開発は、GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)を用いた直感的な操作と、最小限のプログラミングを組み合わせることで、特定の動作・仕組みをもつシステムを開発できます。

参考として以下に、ローコード開発を取り入れる魅力をまとめました。

  • 開発スピードが向上する
    パーツをドラッグ&ドロップで組み合わせて、素早くアプリを構築
  • プログラミング知識の基礎があれば対応できる
    非エンジニアでもかんたんなアプリ作成ができる
  • 状況に応じて機能をカスタマイズできる
    コードを追記・変更できるため、拡張性が高い
  • 導入形態を自由に選択できる
    クラウド型とオンプレミス型から自社環境に合わせて選択可能

なおローコード開発は、完全にコード不要かつ誰でも扱いやすい「ノーコード開発」と違い、必要最小限のプログラミング知識が必要です。ただし、ノーコード開発と比べて柔軟性の高い開発ができることから、移り変わる顧客の動向に合わせるため、カスタマイズに強いローコードを導入する企業が増えてきています。

ローコード開発のより詳しい情報を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

ローコード開発とは?メリットや特急開発事例を紹介

ローコード開発事例5選

企業は、ローコード開発をどのように活用しているのでしょうか。

ここでは、実際に企業が取り組んでいる事例を5つに分けて紹介します。

Webサイトの構築

ここでは、法人向けに新規Webサイトを立ち上げた製造業を展開するある企業の取り組みをご紹介します。

まずその企業では、新規Webサイトの立ち上げにあたり、利用者属性に応じた認証・認可と表示制御を従来の仕組みでは実現しきれず、運用負荷の増加や問い合わせの増加が課題でした。

そこで、認証機能や表示制御の部分に重点的に開発リソースを投入するために、ローコード開発基盤を活用しました。標準機能で対応可能な画面やフォームは極力カスタマイズせず利用し、必要な箇所だけをプロコード開発で柔軟に対応する戦略をとったのです。

プロジェクトの初期段階では、要件定義の際に以下の領域を明確に仕分けしました。

  • 標準機能で運用可能な領域
  • 個別に開発すべき領域

運用方法を工夫することで追加開発を回避した部分も多く、その結果、短納期での公開と安定した運用を実現しています。

Web制作でローコードを使う最大のメリットは、短納期とコスト最適化です。UIコンポーネントやフォームなどの標準機能を組み合わせるだけで基本機能を素早く形にでき、要件変更にも短いサイクルで対応できます。プロトタイプを早期に提示し、ユーザーのフィードバックを取り込みながら完成度を高めやすいのも強みです。

運用面でも効果があります。更新作業の多くを内製化できるため、非エンジニアでもコンテンツ修正や入力項目の追加、軽微なフロー変更が可能になります。結果として、開発者は認証・認可や表示制御、外部連携といったコア領域に集中でき、長期の運用コストを抑えられます。

iPhone との連携による情報共有の質向上

関西地方のとある病院の事例です。その病院は長年にわたり地域医療を支えてきた総合病院ですが、職員数が多く診療科も幅広いため、情報共有のスピードと精度が大きな課題となっていました。

その問題を脱するため、当院で実施されたのが、院内の連絡用に利用していたPHS(電話)をスマートフォンへ切り替える対策です。またこれに合わせて、すべての職員用端末をiPhoneへ移行すると同時に、ローコード開発環境を活用して院内業務システムを刷新しました。

なお新システムでは、患者ごとの診療記録をiPhoneから直接参照・入力できるようにし、画像や動画データも安全に共有できる仕組みを整備しています。

従来の文字情報だけでは伝わりにくかった患部の状態やリハビリの進行度を、写真や映像として即座に関係者に共有できるようになり、診断や治療方針の検討が迅速化したほか、医療サービス全体の質が向上しました。

このように、iPhoneをはじめとするスマートデバイスと業務システムを連携させることで、情報共有の「速さ」「内容の豊かさ」の両面が改善されます。

特に医療や建設、製造業といった現場では、テキスト情報だけでなく画像・動画などの視覚的データを扱う場面が多く、スマートデバイスの導入効果が大きいです。さらに、ローコード開発を組み合わせれば、現場ニーズに合わせたシステム改修も短期間で行えるため、導入後の改善サイクルも回しやすくなります。

要件定義の効率化

流通業を展開するとある企業では、新規事業に伴う大規模なシステム開発プロジェクトを進めるにあたり、「要件定義をいかに短期間でまとめるか」が大きな課題となっていました。そしてその背景には、次の2つの理由がありました。

  • 初期段階から高額な開発投資を行うのはリスクが大きいと判断された
  • 前段階で実証実験(PoC)を実施する必要があると見込まれた

まず、初期段階から多額の開発費を投じるのはリスクが高いと判断されたほか、アジャイル開発を採用する予定ではあったものの、前段階で実証実験(PoC)を行う必要性があり、要件定義の長期化につながることがわかったのです。

そこで同社は、ノーコード/ローコード開発基盤となるプラットフォームサービスを採用しました。これにより、実証実験を行った後の要件定義について、小規模なプロトタイプを迅速に作成できるようになりました。また、現場ユーザーと共に検証を重ねることで、要件の抜け漏れを最小限に抑えつつ効率的な要件定義を実現しています。

なお、要件定義の段階では「顧客や現場のニーズを正しく把握すること」が重要である一方、紙ベースの資料や会議だけでまとめようとすると、認識のズレや手戻りが発生しやすくなります。

そこで、ローコード/ノーコードでプロトタイプを作成すれば、実際に画面や操作イメージを見ながら議論できるため、仕様の誤解を防ぎやすくなります。また、PoCを短期間で繰り返すことで、要件定義そのものが実運用に即した内容に近づきやすくなる点も大きなメリットです。

押印のペーパーレス化

食品製造業を展開している某企業では、稟議書や契約書などの社内申請において、長年「紙に印鑑を押す」という従来のワークフローが残っていました。その結果、申請の進捗状況をリアルタイムで把握できず、次のような課題が顕在化していました。

  • 書類の紛失
  • 保管スペースの増加

そこで同社は、ローコード開発プラットフォームを用いて電子承認アプリを導入しました。

導入の結果、承認スピードが大幅に向上したほか、書類データの一元管理が可能になり、検索や履歴確認も容易になりました。従来の「ハンコ待ち」で業務が止まる状態が解消され、生産性の底上げにつながっています。

このように、押印のペーパーレス化は業務効率化とガバナンス強化の両面でメリットがあります。

紙の書類運用の場合、承認者不在による業務停滞や、書類の保管・検索にかかるコストが避けられません。一方で電子化を進めれば、承認の進捗状況をリアルタイムに把握できるといった効果も得られます。

さらに、ローコード/ノーコード基盤を活用すれば、自社のワークフローに合わせた承認フローを短期間で構築できます。結果として、単なる「ハンコの廃止」にとどまらず、企業全体の意思決定スピードを高める基盤づくりにつながるのが魅力です。

手作業による生産管理をDX化

建設系の製造業を営む某企業では、品質試験や生産ラインの検査工程で使用する「計測器」がメーカーごとに異なり、データの扱いが大きな課題となっていました。

たとえば、一部の計測器はデジタル出力機能をもたず、担当者が目視で数値を確認し、紙に書き写したうえでスプレッドシートに再入力する必要がありました。こうした手作業は時間がかかるだけでなく、転記ミスの原因にもなり、生産管理全体の効率を妨げていました。

この問題を解決するため、同社はAIによる画像解析ツールを導入しました。計測器の目盛りや表示を写真で撮影するだけで、自動的に数値をデータ化できる仕組みを整えたのです。

さらに、標準機能では業務フローに十分対応できなかったため、APIを活用してローコード開発プラットフォーム上にカスタムアプリを構築しました。これにより既存の計測器を買い替えることなくデジタル化を実現し、従来の1/10以下のコストでシステムを構築することに成功しました。

なお、生産管理のDX化では既存設備をすべて刷新するのではなく、現在の資産を活かしながら段階的にデジタル化を進めることが重要です。

ローコード開発を活用すれば、現場の要求に合わせたシステムを低コストで迅速に構築できます。手作業による転記や集計作業が自動化されることで、データの精度が向上し、より正確な経営判断が可能になります。

Webサイト/アプリ開発の効率化はローコード開発プラットフォームがおすすめ

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サービスの詳細については「ローコード開発プラットフォーム」のページをご覧いただくか、サービス導入をご検討中の方はこちらからぜひお問い合わせ下さい。

まとめ

ローコード開発ツールは、開発スピードの向上・コスト削減・柔軟なカスタマイズ性を同時に実現できる有効な手段です。

単なる効率化にとどまらず、現場のアイデアをすぐに形にすることで従業員の生産性を高められます。本記事の事例等を参考にしつつ、組織全体のDX推進や競争力強化につなげていきましょう。

WebサイトやWebアプリの開発に課題を感じている企業のご担当者様は、ぜひご検討いただければと思います。 

このコラムの執筆者
スパイラル編集部
スパイラル株式会社マーケティング部が中心となり、ITサービスを検討中の皆様に役立つ情報を発信しています。