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顧客対応・サポート

~エピソード28~顧客接点業務を内製化した場合のセキュリティ対策~スピード改善と安全性をどう両立する?についてまとめてみました~

更新日:2026/02/20

2026年2月、朝8:30。 頭上には、まだ冬の名残を感じさせる曇り空。
オフィスの暖房がちょうどよく効いている。 席に着き、PCを立ち上げながら今日のタスクを頭の中で整理していると――
ガチャッ。

ボス
渦真木くん、おはよう。ちょっと聞いてええかな?
渦真木
おはようございます。はい、なんでしょう?
ボス
昨日な、知り合いの会社の人と話したんやけど、『問い合わせフォームを社内で直せるようにした』って言うててな。
渦真木
ローコードでの内製化ですね。最近かなり増えてますよね。
ボス
そうそう。『ちょっとした項目追加や文言修正なら、その日のうちに直せる』って、えらい満足そうやったわ。
渦真木
顧客接点部分の改善がすぐできるのは、大きいですよ。
ボス
ただな、そのあとがちょっと気になってな。『誰がどこまで触れるか決めてへん』とか、『うっかり公開設定を変えてしまいそう』とか、そのあたりはまだ手つかずらしいんや。
渦真木
……それは心配ですね。
ボス
やろ? 問い合わせフォームや会員管理って、名前やメールアドレスみたいな個人情報が集まる場所や。”直せる”ようになった分、”守り方”まで設計できてるかが大事やと思うんよ。
渦真木
確かに。スピードが上がるのは武器ですけど、セキュリティのルールを決めずに進めると、リスクが出やすい領域ですよね。
ボス
立ち上げで何を決めとくべきか、運用しながらどこに気をつけるか。そのあたり、ちゃんと整理しておきたいんや。
渦真木
分かりました。接点の内製化で押さえるべきセキュリティのポイント、立ち上げから改善フェーズまでまとめてきます。
渦真木
班長、おはようございます! 今回のテーマは顧客接点業務のローコード内製化のセキュリティについてです!
班長
おはよう、渦真木さん。あら、ボスからの依頼? ちょうどタイムリーね。さっき別のチームから自分で直したいから権限が欲しい』って頼まれて、断ったところなの。
渦真木
あ、やっぱりそういう声ありますよね。でも頼まれるたびに権限を渡していたら、管理が追いつかなくなりますし。
班長
そうなのよ。断ったら『内製化ってセキュリティ難しいよな……』って呟いていたわ。気持ちは分かるけどね。
渦真木
顧客接点って、問い合わせフォームや申込画面みたいな、お客様に一番近い部分ですからね。ここを内製化するなら、セキュリティには特に気を配りたいところです。
班長
確かに。”ちょっとした改善”がすぐ効く領域だからこそ、守りの部分もセットで考えないとね。
渦真木
はい。スピードが上がる分、セキュリティや運用の考え方がより重要になってきます。
班長
よし、じゃあ順番に整理していきましょう。まずは“なぜ顧客接点でセキュリティが特に大事なのか”からね。

なぜセキュリティが特に重要なのか

渦真木
まず前提から整理しますね。顧客接点業務では、日常的にこんな情報を扱っています。

顧客接点業務で扱う情報

渦真木
顧客接点業務では日常で扱う個人情報がとても多いんです。しかもローコードで内製化すると、フォームの項目追加や文言修正がすぐできるので、変更の回数が自然と増えるんです。一つひとつは小さな変更でも、そのたびに設定ミスや権限ミスが起きる可能性がある。だから事故につながりやすい領域なんです。

内製化で起こりやすいセキュリティ事故の例

渦真木
実際によくあるのは、こんなケースです。
  • 一覧表、データのの公開範囲を誤って設定し、内部用の画面が外部から見えてしまった
  • 権限設定が曖昧で、想定外の担当者が顧客データを誤って削除してしまった
  • 改修を急ぐあまりチェックを省略し、確認なしで本番に反映したところ、意図せぬ動作不良が起きてしまった
班長
外部からの攻撃じゃなくて、“うっかり”が原因なのね。
渦真木
そうなんです。顧客接点の内製化では、悪意ある攻撃よりも、日常の運用ミスへの備えが特に大事なんです。

内製化で事故が起こりやすい構造

組織・運用体制面の注意点

渦真木
ここからは具体的な対策です。まずは組織や運用体制についてです。

セキュリティチャンピオンを決めておく

  • 改修や変更のとき、セキュリティの観点で判断できる担当者を決めておく
  • IT部門に丸投げせず、現場とITをつなぐ“橋渡し役”を置くのがポイント

属人化を防ぐ仕組みをつくる

  • フォームの変更や項目追加を、一人の判断だけで完結させない
  • シンプルでいいので、レビューや確認のフローを用意しておく

市民開発者への最低限の教育

  • 自分たちは 個人情報を扱っている という意識
  • 変更するときに 気をつけるべきポイント
  • 迷ったときの 相談先
班長
要するに、“誰に聞けばいいか分からない”っていう状態をつくらないことが大事ね。
渦真木
まさにそうです。開発者には難しい技術教育は不要ですが、最低限この3つは共有しておきたいですね。
班長
まずは体制と仕組み。そのうえで、“ちょっとしたことだから大丈夫”って油断しない意識を日頃から共有する。この両輪ね。
渦真木
さすが班長、きれいにまとめますね!
班長
ふふ、まとめるのは得意よ。

安全な内製化のための体制イメージ

プロセス・戦略面の注意点

班長
立ち上げのときは、どこまで決めておくべきかしら?
渦真木
最初から完璧を目指す必要はありません。ただ、“改善し続ける前提”で設計しておくことが大切です。

立ち上げ時にセキュリティの土台をつくる

  • 最低限のルールと、誰が何に責任を持つかを決めておく
  • あとから見直せるよう、柔軟さを持たせた設計にする

レビュー・確認を”仕組み”にする

  • 改善のスピードを落とさないために、特定の人に頼らないチェックフローを用意する
  • 「速さ」と「安全性」を対立させず、仕組みの中で両立させる

外部の力もうまく使う

渦真木
内製化は「すべて自社だけで完結させる」ことではありません。特に以下のような領域は、情シス部門に加えて外部の知見を活用する企業も増えています。

外部の力をうまく使える領域

班長
日々の改修は自分たちでやる。でも、セキュリティ設計やルールみたいな”土台の部分”はプロの力を借りる。その切り分けが上手にできると、現場も安心して動けるよね。

技術・運用面の注意点(顧客接点特有)

渦真木
最後に、顧客接点の業務だからこそ押さえておきたい技術面のポイントです。
  • 権限管理と操作ログ — 誰がいつ何を変更したか、あとから追える状態にしておく
  • 公開設定の確認 — 公開/非公開の切り替えは、事故につながりやすいので特に慎重に
  • クラウド利用時の役割分担 — 「プラットフォーム側が守る範囲」と「自社で守る範囲」を把握しておく
  • フォーム周りの基本的な脆弱性対策 — 不正な入力への対策など、基本を押さえておく
渦真木
このあたりも、自社のシステム部門や外部の専門家に相談しておくと安心です!
班長
ここまでで全体像が見えてきたわね。渦真木くん、よくまとまっているわよ。
渦真木
ありがとうございます! あ、螺旋さんからも補足があるみたいです。

改善が進むほど増えがちな悩みとは?

螺旋
オホン! お二人の整理に補足いたします。ローコードで内製化が軌道に乗ると、改善スピードが上がる一方で、”運用が追いつかなくなる瞬間”が出てくるのです。現場に任せること自体は悪くありません。ただ、こんな状態になってきたら、一度立ち止まって見直すタイミングです!
  • ルールが 口頭ベースのまま で、文書化されていない
  • 誰がどこまで変更していいのか、線引きがぼんやり してきた
  • 新しいメンバーへの教育が 特定の人頼み になっている
  • セキュリティの判断を、毎回 その場しのぎ で乗り切っている
螺旋
こうした状態が続くと、いつか事故が起きるんじゃないか”という不安を抱えたまま改善を続けることになります。
班長
それは精神的にもよくないわよね。
螺旋
おっしゃる通りです。ですから、不安が出てきたら、立ち上げ時に決めたルールと今の運用が合っているか、振り返ってみてください。自社内での見直しはもちろん、外部の第三者目線を入れることで、より客観的に改善できますよ。 オホン!
渦真木
螺旋さん、ありがとうございます! “立ち止まるタイミング”が分かると、現場も動きやすいですね。
螺旋
ふふ、それが大事なんですよ。
班長
なるほどね。顧客接点の内製化は、小さな改善を積み重ねてこそ価値が出るもの。そのために必要なのは、この3つね。
  1. 改善しやすい仕組み — 現場がすぐ動けるフローを整える
  2. 守るための最低限のルール — 権限・レビュー・教育の土台をつくる
  3. 困ったときに頼れる体制 — 社内外の相談先を明確にしておく
班長
この3つを押さえた上で進めることが大切。スピードと安心を両立できる内製化が、これからの顧客接点DXのカギになりそうね。
渦真木
はい!
螺旋
同感です。 オホン!
班長
2人とも、今回もありがとう。あとでしっかりまとめて調査報告書、出してね!

というわけで、2月のテーマは“顧客接点業務を内製化する際のセキュリティ対策”についてでした。内製化は便利だけどセキュリティが心配…という方にぜひ読んでいただけると嬉しいな。

(※本コンテンツの登場人物、部署等はフィクションです。)

このコラムの執筆者
前田みどり
マーケティング部に所属しています。顧客接点部分のDXを検討している皆様に、活用事例を具体的にイメージしていただけるようなコラムを制作しています。