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ARTICLEWebアクセシビリティのコントラスト比とは?基礎や改善点も解説
Webサイトを運営するなかで「コントラスト比とはなに?」「コントラストが基準を満たしているかわからない」と悩んでいる方もいるでしょう。Webアクセシビリティでは、適切なコントラスト比の確保が重要な要素となります。この記事では、コントラスト比の基準や改善のポイント、よくある失敗事例について解説します。
目次
Webアクセシビリティのコントラスト比とは?

Webアクセシビリティにおけるコントラスト比とは、文字色と背景色の明るさの差を数値で表したものです。たとえば、白い背景に黒い文字を使う場合は明暗の差が大きいため、コントラスト比が高く文字がはっきりと見えます。逆にコントラスト比が低いと、境界がぼやけて文字が読みにくくなるでしょう。
コントラスト比は1:1(差がない状態)から21:1(最大の差がある状態)までの範囲で示され、値が高いほど視認性が向上します。
実際に、国際的なWebアクセシビリティの基準である「WCAG(ウェブコンテンツアクセシビリティガイドライン)」では、通常サイズの文字に対して最低でも4.5:1以上のコントラスト比を保つよう推奨しています(※1)。
この基準を満たせば、視力が弱い方や色覚に特性のある方、高齢者など、さまざまな状況の人がWebサイトの内容を読み取りやすくなるのです。コントラスト比の確保は、すべての人に使いやすいWebサイトを作るために欠かせない要素といえます。
(※1)出典:ウェブアクセシビリティ基盤委員会 (WAIC) 「達成基準 1.4.3: コントラスト (最低限)を理解する」Webアクセシビリティでコントラスト比が重要な3つの理由

Webアクセシビリティでコントラスト比が重要な理由として、主に以下の3つがあげられます。
- 視覚障害者や高齢者が快適に情報を読み取れる環境を提供できる
- ユーザーの離脱率を低減しサイトの使いやすさが向上する
- 企業の社会的責任を示しブランド価値を高められる
順番に解説していきます。
理由1:視覚障害者や高齢者が快適に情報を読み取れる環境を提供できる
適切なコントラスト比の確保は、視覚に障害がある人や高齢者にとって欠かせない配慮です。WCAG基準が推奨する4.5:1以上のコントラスト比は、中度のロービジョン(見えにくさや眩しさを感じる状態)の人が日常生活で不自由なく情報を読み取れる水準として設定されています。
さらに、2024年4月から施行された改正障害者差別解消法により、事業者には「社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮」が義務づけられました(※2)。この法改正によって、Webサイトのアクセシビリティ対応は努力義務として位置づけられ、コントラスト比の確保は法的な観点からも重要性が増しています。
(※2)出典:内閣府ホームぺージ「改正障害者差別解消法が施行されました」理由2:ユーザーの離脱率を低減しサイトの使いやすさが向上する
コントラスト比を改善すると、視覚障害の有無にかかわらず、全ユーザーの利便性が高まります。
たとえば、
- 読みづらさが解消されると、離脱率が低下
- ボタンの視認性が向上するとクリック率が改善
- フォームが読みやすくなるとコンバージョン率が向上する
など、さまざまなメリットもあります。
離脱率はWebサイトの重要な評価指標であり、コントラスト比の最適化は指標改善のための施策としても効果的なのです。
理由3:企業の社会的責任を示しブランド価値を高められる
アクセシビリティへの配慮は、企業の倫理観や価値観を示す指標でもあります。ユーザーに配慮する取り組みを行うと、企業のブランドイメージが向上し、社会的責任を果たしている姿勢も示せるでしょう。
またWebアクセシビリティを考慮したWebサイトは、使いやすさや見やすさがあるため「誰もが利用しやすい」という印象を与えられます。このようにWebアクセシビリティへの対応は、法的リスクの回避だけでなく、企業の社会的評価向上にも直結するのです。
WCAG基準で求められるコントラスト比の2つの数値レベル

WCAGは、視覚に障害のある人や高齢者が文字を読みやすくするため、文字色と背景色の明るさの差を数値で定めています。この基準はレベルAA(最低限)とレベルAAA(高度)の2段階に分かれており、それぞれ異なるコントラスト比が求められます。
順番に見ていきましょう。
1:レベルAA
WCAGのレベルAAは、多くの企業や公的機関が目指す推奨レベルです。通常サイズの文字に対しては、背景色との間に最低でも4.5:1以上のコントラスト比が求められ、視力が約20/40(0.5)程度まで低下した人に配慮した数値です。
ただし「18ポイント(約24px)」以上の文字や「14ポイント(約18.5px)」以上の太字といった大きな文字の場合は、3:1以上のコントラスト比で十分とされています。日本語フォントの場合は、それぞれ22ポイント(約29px)と18ポイント(約24px)が同等とされます(※3)。
(※3)出典:ウェブアクセシビリティ基盤委員会 (WAIC) 「達成基準 1.4.3: コントラスト (最低限)を理解する」2:レベルAAA
レベルAAAは、レベルAAよりもさらに高い基準を満たしたものです。通常サイズの文字には、背景色との間に最低でも7:1以上のコントラスト比が必要になり、視力が約20/80(0.25)程度まで低下した人に配慮しています。
大きな文字の場合は、レベルAAAでも4.5:1以上のコントラスト比があれば基準を満たせます。レベルAAAを達成すれば、より幅広いユーザーに情報を届けられるでしょう。
Webアクセシビリティにおけるコントラスト比を改善する4つのポイント

Webアクセシビリティにおけるコントラスト比を改善するポイントには、主に以下の4つがあげられます。
- コントラスト比チェックツールを活用した検証
- 色だけに頼らない情報伝達の設計
- デザイン段階で適切なカラーパレットを選ぶ
- UIコンポーネントやグラフィック要素のコントラスト確保
順番に見ていきましょう。
ポイント1:コントラスト比チェックツールを活用した検証
コントラスト比の改善には、専用のチェックツールによる定量的な検証が欠かせません。たとえば文字色と背景色を入力するだけで、リアルタイムにコントラスト比を算出してくれるツールがあります。
ほかにも、Google Chromeの拡張機能である「WCAG Color contrast checker」を使えば、既存のWebサイトで使用されている色を自動的に抽出して評価できるため、運用中のWebサイトのメンテナンスにも活用しやすいでしょう。
複数の色の組み合わせを一覧表示できるツールもあるため、デザイン初心者の人におすすめです。
ポイント2:色だけに頼らない情報伝達の設計
色覚に特性のある人には、情報や状態の変化を伝える際に、色以外の視覚的要素も組み合わせる工夫が必要です。たとえば、エラーメッセージを赤色で表示する場合、「!」マークなどのアイコンをつけたり、テキストを太字にしたりといった手法が効果的です。
また、フォームの入力欄やボタンの状態を示す場合も、形状やパターンなどの視覚要素を活用すれば、色覚特性の有無にかかわらず誰でも情報を認識しやすくなります。このような配慮は、単に機能的な問題を解決するだけでなく、全ユーザーに対しての利便性を高められます。
ポイント3:デザイン段階で適切なカラーパレットを選ぶ
コントラスト比の問題は、デザインの初期段階から意識してカラーパレットを選定すると効率的に対処できます。たとえば、明るい背景には薄い文字色を使わないといった基本ルールで、ブランドカラーを活かしつつも十分なコントラストを確保できる色の組み合わせを最初から用意しておくといった具合です。
とくに、薄いグレーの文字や背景が写真になっている場合は、コントラスト比が不足しやすいため要注意です。また、コントラストチェッカーツールを活用して客観的に確認する習慣をつければ、後から修正する手間が省けて作業全体の効率も向上します。この段階から配慮すれば、美しさと使いやすさを両立したWebサイトに近づけるでしょう。
ポイント4:UIコンポーネントやグラフィック要素のコントラスト確保
テキストだけでなく、
- ボタンやリンク
- フォームの境界線
- アイコンなどのUI要素
などにも、背景とのコントラストが必要です。
操作対象が見えづらいと、目的の動作ができず利便性を損なってしまいます。そのため装飾目的ではなく、ユーザーの操作にかかわる要素にはコントラスト比の確認を行いましょう。
さらに、フォーカス時のアウトラインなど、コンポーネントのコントロールを示す情報にも同様にコントラスト比の確認が必要です。テキストのコントラスト比は意識されやすい一方で、UI要素の確認は怠りがちなので、とくに注意が必要です。
コントラスト比の調整でよくある失敗例4選

コントラスト比の調整でよくある失敗例として、主に以下の4つがあげられます。
- 背景画像や写真の上にテキストを直接配置する
- デザイン重視で薄いグレーなどの淡い色を使いすぎる
- ブランドカラーをそのまま使用する
- ホバーやフォーカス状態でのコントラスト比を確認していない
順番に解説していきます。
失敗例1:背景画像や写真の上にテキストを直接配置する
背景に写真や画像を使用する場合、文字の背景にさまざまな色が混在するため、部分的にコントラスト比が不足してしまう失敗が起こります。たとえば、白い文字を写真の上に直接配置すると、背景の一部に白や黄色といった明るい色が含まれている箇所では、コントラスト比が低下して読み取りづらくなるでしょう。
改善策として、文字の背景部分だけに半透明の黒や白の帯を敷いてコントラスト比を確保する方法が効果的です。また文字を細い黒枠線で縁取るなどの対策を行うと、背景を問わずに視認性を保てます。
失敗例2:デザイン重視で薄いグレーなどの淡い色を使いすぎる
洗練されたデザインを意識するあまり、薄いグレーなどの淡い色をテキストに使ってしまうケースが多く見られます。たとえば、薄いグレー背景に白文字を使用すると、コントラスト比が基準値に届きません(※4)。
デザイントレンドとして淡い色合いが好まれることがありますが、そのまま文字やUI要素に適用すると視認性が著しく低下してしまうでしょう。この問題は、視覚障害のある人以外にとっても不便であるため注意が必要です。
(※4)出典:デジタル庁「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」失敗例3:ブランドカラーをそのまま使用する
企業のブランドカラーが明るいオレンジや鮮やかな色である場合、白背景に配置すると最低限のコントラスト比すら満たせない場合があります。実際の事例では、あるWebサイトが明るいオレンジ色のブランドカラーを使用したところ、コントラスト比が3:1に届きませんでした。
しかしコントラスト比を上げるために色を調整すると、茶色っぽくなって暗い雰囲気になるか、赤々しくなってキツい印象になり、ブランドの世界観に合わなくなってしまうのです。
対策としては、
- ボタンの文字色を黒寄りの色にする
- 背景とテキストの関係だけを変える
- 重要情報に限って濃度を調整する
といった工夫で、ブランドを守りながらアクセシビリティを担保できるでしょう。
失敗例4:ホバーやフォーカス状態でのコントラスト比を確認していない
通常表示では十分なコントラスト比があっても、ホバー時やフォーカス時の状態変化を考慮せずにデザインしてしまう失敗も起こります。たとえば、リンクにカーソルを合わせた際、色が薄い水色に変化してコントラストが不十分になるケースです。
WCAGでは、フォーカスされている状態とされていない状態の間でも、同一ピクセルに少なくとも3:1のコントラスト比が求められます(※5)。ページ上の要素は複数の状態を持つため、通常表示のコントラスト確認だけでは不十分であり、すべての状態で視認性を検証しなければなりません。
(※5)出典:ウェブアクセシビリティ基盤委員会 (WAIC) 「Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.2 (日本語訳)」Webアクセシビリティに効率よく対応するなら

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まとめ
Webアクセシビリティにおけるコントラスト比は、文字と背景の明るさの差を数値で示すもので、WCAG基準では最低でも4.5:1以上が推奨されています。視覚障害者や高齢者が快適に情報を読み取るために欠かせない要素であり、企業の対応義務も強化されました。
コントラスト比の改善は、ユーザーの離脱率を低減させるだけでなく、企業の社会的責任を示しブランド価値を高める効果もあります。
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