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少子化で予算が削られる今こそ大学がDXに投資すべき理由

更新日:2026/06/05

少子化で学生数や予算の見通しが厳しくなる中、大学にはこれまで以上に経営判断の見直しが求められています。この記事では、大学DXがなぜ経営を支える手段になるのかを、現状と課題から解説します。

少子化で予算が削られる大学の”今”

現在、日本の少子高齢化は先進国の中でも類を見ないレベルで進行しています。

大学経営においてもその影響は大きく、大学進学者数の減少、定員割れ、大学規模の見直しなど、これまで以上に厳しい判断が求められている状況です。

そこでここでは少子化によって大学予算の見直しが進む現状について、官公庁の公開資料から読み取れる国の政策的な意図や大学経営への影響を詳しく解説します。

大学進学者は2026年をピークに減少していく

文部科学省の資料では、大学進学者数は2026年をピークに、その後は減少していくと見込まれています。

実は、これまで直近10年程度の大学進学者数は、18歳人口が減少する中でも進学率の上昇に支えられて微増傾向にありました。

しかし2026年以降は、進学率が上昇しても少子化による”18歳人口自体の減少”を補いきれず、大学進学者数は減少局面に入るとされています。

引用:文部科学省 私立大学を取り巻く現状について

つまり、これまでのように進学率の上昇を前提として学生数を維持することは、次第に難しくなっていくと言えるでしょう。

そのため、今後の大学経営には単に「学生を集める」だけでなく、限られた学生から選ばれる教育内容や支援体制を整えることが求められます。

少子化の影響は入学者数だけでなく、予算配分や学部・学科の運営判断にも及ぶため、早い段階から経営基盤を見直す必要があります。

私立大学の6割はすでに定員割れ

少子化の影響は、すでに大学の入学状況にも表れています。

日本私立学校振興・共済事業団の資料によると、2024年度に入学定員充足率が100%未満、つまり「定員割れ」となった私立大学は354校で、前年度から34校増加しています。

また、この「定員割れ」校が私立大学全体に占める割合は約6割に達しています。

ただし、大学進学者数そのものが減少していく以上、影響を受けるのは私立大学に限られません。

国公立大学であっても、「志願者層の縮小」「地域内での進学需要の減少」「教育・研究予算の配分見直し」など、少子化に伴う経営課題は避けられません。

特に地方では、大学が学生街や地域経済を支える存在でもあるため、学生数の減少は地域の活力低下にもつながり、地域貢献や教育成果を踏まえた助成金・補助金の配分にも影響する場合があります。

私学助成や大学規模の見直しも議論が進んでいる

少子化に伴う大学経営の変化は、学生数の減少だけでなく、私学助成や大学規模の見直しにも及んでいます。

2025年に公開された財務省の資料では、人口減少が進む中で「このままでは教育の質を安定して保つことが難しくなるおそれがある」と指摘されています。

さらに、学生が集まらない大学については、定員削減や統廃合、撤退を進めやすくする制度的対応に加え、私学助成の見直しも必要だとされています。

また、特に重要なのは私学の資金助成は「学生数が多いか」だけでなく、以下のような観点を重視すべきとされている点です。

  • 最高学府としてふさわしい教育を行っているか
  • 学生の成長につながる教育を行っているか
  • 社会で求められる人材を育てているか

つまり、従来の「定員を埋められるか」という目標だけでなく、「入学後に社会で活躍できる人材を育てられるか」が問われています。

たとえば、大学のカリキュラムにおいて「四則演算」や「基礎的な英文法」「原稿用紙の使い方」といった初歩的な内容に時間を使っている場合もあるとされています。

つまり、学生数を確保するだけでなく、教育の中身や成果を示せる大学であることが、経営や存続にも関わる重要な条件になるでしょう。

大学とDXの関係

少子化によって大学予算の見直しが進む中で、注目されているのが「DX」による解決です。

DXは、単に紙の書類をデータ化したり、業務にシステムを導入したりすることではありません。

デジタル技術やデータを活用して、業務の進め方や教育の提供方法、組織の意思決定そのものを抜本的に改善する取り組みのことです。

ここでは、「そもそもDXとは何か」「なぜ今注目されているのか」「大学でDXを進めると何ができるようになるのか」を解説します。

そもそもDXとは

DXとは、デジタル技術やデータを活用し、組織の仕組みや提供価値を変革する取り組みです。

DXは「Digital Transformation」の略で、単なるITツール導入ではなく、デジタル技術を武器に経営や業務の在り方自体を変えることを指します。

IT化とは、業務にITツールを導入することです。

たとえば、以下のような取り組みがIT化に該当します。

  • 会議をオンラインで実施する
  • 学内連絡にチャットツールを使う
  • 紙で管理していた申請状況をExcelで管理する

一方で、デジタル化とは、紙や対面を前提としていた情報や手続きをデータとして扱えるようにすることです。

たとえば、以下のような取り組みが挙げられます。

  • 会議資料や議事録をクラウド上で共有・保管する
  • 学内連絡の内容をシステム上に記録し、検索できるようにする
  • 申請手続きをWebフォーム化し、申請・承認状況をデータで管理する

ただし、このようなIT化やデジタル化だけではDXとは言えません。

DXでは、デジタル化した情報を活用し、業務の流れや意思決定の方法まで見直す取り組みも行うことが求められます。

DXが注目されている理由

DXが注目されているのは、限られた人員や予算の中でも、大学運営に必要な情報を一元化し、現状把握や意思決定に活用できるためです。

紙や個別のExcelで管理していた情報は、部署ごとに分散しやすく、全学的な状況を把握しにくい傾向があります。

一方で、DXを進めれば「学生募集」「学生支援」「教育内容の見直し」「予算配分」などに関わる情報を可視化し、経営判断に反映しやすくなります。

つまり、DXは、限られたリソースで大学の機能を維持するために、属人的な管理からデータに基づく経営へ移行する手段として注目されていると言えるでしょう。

大学でDXを推進すると実現できること

大学でDXを進めると、教職員が日常的に対応している事務作業や学生対応を効率化しやすくなります。

特に、手段・担当者が分散している業務を整理することで、確認漏れや二重対応を減らし業務量を効率化しやすくなる点が大きなメリットです。

たとえば、収支分析のような経営面での応用だけでなく、以下のような業務でも効果が期待できます。

  • 紙の申請書や稟議書を電子化し、申請状況や承認状況を確認しやすくする
  • 学生や保護者からの問い合わせを分類分けし、統一した対応の実施や参考事例を参照しやすくする
  • 履修登録、出席、成績などの情報をまとめて分析し、教育実態を見える化する

このように、大学のDXは経営面での改善だけを指すものではありません。

まずは教職員の負担が大きい業務を見直し、限られた人員でも教育・研究・学生支援に時間を使いやすくする取り組みから始められます。

大学のDXが学校運営にもたらす価値

大学におけるDXは、学生の学びやすさを高めるだけでなく、大学運営そのものの改善にもつながります。

ここでは、大学DXが学校運営にもたらす価値や活用例を解説します。

教職員の事務負担を減らし教育・研究に時間を使いやすくなる

大学DXを進めることで、教職員が日常的に対応している事務作業を効率化しやすくなります。

たとえば、以下のような業務をデジタル化すれば、確認漏れや二重対応を減らせます。

  • 紙の申請書・稟議書の作成および承認
  • メールでの確認作業
  • 手作業での資料作成

その結果、教職員は本来の業務である教育・研究・学生支援に時間を使いやすくなります。

入試・広報データを活用して学生募集の精度を高められる

大学DXは、入試・広報活動の改善にも役立ちます。

入試・広報データを整理することで、どの施策が入学につながっているかを把握しやすくなります。

また、大学の教育内容と学生の期待にズレがあると、入学後のミスマッチや退学につながる可能性があります。

さらに、入学者のニーズがわかれば、より持続性の高い運営が可能になるでしょう。

なぜ予算が厳しい今だからこそ大学DXが重要なのか

少子化によって大学予算が限られる中では、単に支出を削るだけでは教育・研究の質を維持できません。

重要なのは、限られた人員や予算、設備などを無駄なく活用することです。

そこで、ここでは予算の厳しい現状における大学DXの重要性を深掘りします。

学部・学科ごとの成果を可視化し、予算配分を見直せる

予算が限られる中では、すべての学部・学科に従来通りの予算を配分し続けることが難しくなります。

DXによって、「志願者数」「入学者数」「就職状況」など従来の数値だけではない、より本質的な教育成果を可視化できるようになります。

その結果、どの領域に課題があり、どこに重点的な支援が必要なのかを判断しやすくなります。

さらに、学生のニーズを把握できるようになれば、広告費やプロモーション費を効率的に使いやすくなり、限られた広報予算の中で、より成果につながる施策を実現できるようになるでしょう。

事務業務を効率化し、限られた人員で運営できる

予算が厳しくなると、教職員を簡単に増やすことは難しくなります。その一方で、「入試」「学生支援」「研究支援」「会議資料」の作成など、大学運営に必要な業務は大きく減りません。

DXによって定型業務を効率化できれば、限られた人員でも運営を維持しやすくなります。

これは単なる省力化ではなく、教職員が教育・研究・学生対応といった本来注力すべき業務に時間を使うための見直しです。特に研究室や大学院では、教員の多忙さが学生の指導不足につながることもあります。

業務負担を減らすことは、研究環境の健全化や、ハラスメントを生みにくい運営体制づくりにもつながるでしょう。

まとめ

少子化により、今後の大学運営は定員を満たすだけでなく、教育・研究・学生支援の質を維持し、社会に対して大学の価値を示すことがより重要になります。

そのためには、限られた人員や予算でも安定して運営できる仕組みづくりが欠かせませんが、大学DXは大学経営の持続性を支える取り組みといえます。

特に入学手続きは、書類の確認や提出状況の管理、問い合わせ対応など、抜け漏れが起きやすい業務の一つです。

オンライン入学手続き」を導入すれば、手続き状況をシステム上で管理しやすくなり、教職員の負担軽減や対応漏れの防止につながります。

予算が厳しい今だからこそ、大学運営の中でも負担が大きい業務からDXを進め、教育・研究・学生支援に集中できる環境を整えることが重要なのではないでしょうか。

このコラムの執筆者
スパイラル編集部
スパイラル株式会社マーケティング部が中心となり、ITサービスを検討中の皆様に役立つ情報を発信しています。