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教育におけるDX推進とは?残された課題やDX推進事例をご紹介

掲載日:2022年5月12日更新日:2024年2月21日

数年前から重要性が叫ばれているDX推進。それはビジネスの世界だけでなく、教育現場でも注目されています。教育におけるDX推進とは何なのでしょうか?文部科学省のDXプランを参考に、教育とDXの関係を解説していきます。

教育におけるDX推進とは何か?

教育におけるDX推進とは何か?

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは先進的なデジタル技術やデータの活用を通じて物事に新しい付加価値を生んだり、改革を進めるための取り組みです。主にビジネス分野で使われる言葉であり、世界中で大きな波を起こしています。

では、教育におけるDX推進とは何なのか?まずはDX推進とデジタル化の違いから確認していきましょう。

DX推進とデジタル化の違い

DX推進とデジタル化の違いを簡単に説明しますと、DX推進とは新しい付加価値の創出や改革を伴うデジタル技術やデータの活用であり、デジタル化とは主にITツールを用いて業務効率化のことです。どちらも同じデジタル技術を用いることはあっても、DX推進の方がより大規模かつダイナミックな変化をもたらすものなのです。

たとえばWEB会議システムを導入して社内外のコミュニケーションを効率化すれば、それはデジタル化です。一方で、導入したWEB会議システムと既存システムを連携し、新しいビジネスモデルを確立できればそれはDX推進と呼べます。

現状として明確な線引きはないのですが、「DX推進はインパクトの大きな変革を伴うもの」と考えてください。

教育現場のDX推進がもたらすメリット

教育現場のDX推進がもたらすメリット

ビジネスに限らず、DX推進は教育現場でも多くのメリットをもたらします。これからの時代では、未来を担う優秀な人材育成を教育現場から実現するために、多くの教育機関でDX推進が求められていくでしょう。

義務教育過程でのデジタル人材育成

日本ではプログラミング的思考の育成やコンピューター活用力の向上などを目的として、初等教育でのプログラミング授業を必修としています。しかし、指導教員の知識・技術にばらつきがあることから、デジタル人材育成に貢献しているとは言い難いのが現状です。

DX推進により、この状況を大きく変えられる可能性があります。プログラミング授業の専門機関と連携し、専門家による授業進行で初等教育におけるプログラミング技術を大幅にアップできるかもしれません。これを中等教育にまで拡大することで、不足しているデジタル人材を多く育成できる可能性があります。

リモート常態化による柔軟な授業進行

コロナ禍によりリモート授業の課題が浮き彫りになった昨今、これをデジタル技術やデータを活用して乗り越えることもできます。生徒ごとの授業進行状況や単位などを全てシステム上で管理することで、円滑で柔軟な授業進行が可能になるでしょう。

将来的に平日は学校でオフライン授業を行い、土曜日のみオンライン授業で不足単位を補填するなどの授業スタイルも実現できます。そうなれば単位取得だけでなく、学校行事に力を入れている生徒の学校生活充実に貢献できるかもしれません。

学習ログの蓄積・活用による個別最適化

学習ログや成績をすべてシステム上で管理できれば、生徒ごとに得意・不得意や、何が足りないのかなどを詳細に把握できます。授業の個別最適化により日本全体の学力アップにも貢献できます。

また、データを分析にかけて自動的にレポートが出力されるシステムを構築すれば、教員の事務作業負担も軽減されるでしょう。

コンピュータ試験(CBT)による事務作業負担の軽減

義務教育課程におけるCBTが一般的になると、採点業務を大幅に効率化でき事務作業負担が軽減されます。教員は生徒ごとにきめ細かな教育が可能になり、生徒の学力だけでなく人間性向上にも貢献できます。

また、膨大なテストデータを収集・蓄積し、AIによって自動的にテスト問題を作成するといったシステムも実現可能です。

文部科学省が推進するDXプラン

文部科学省が推進するDXプラン

文部科学省はかねてより、デジタル技術やデータを活用したDXプランを推進しています。近年の代表的な取り組みが「GIGAスクール構想」です。それでは、文部科学省のDXプランをGIGAスクール構想から解説します。

改めて、GIGAスクール構想とは?

GIGAスクール構想の「GIGA」は「Global and Innovation Gateway for All」の略です。日本語では「(児童の)全てにグローバルかつ革新的な扉を」と訳されます。文部科学省が公開している資料では、GIGAスクール構想の目標について次のように説明しています。

現状としては「1人1台」をほぼ達成した小中学生用端末を利用した授業進行や、オンライン授業・補習などが取り組みの中心になっています。

初等・中等教育、高等教育での違い

初等・中等教育におけるDX推進では生徒各人への端末配布率100%を達成し、GIGAスクール構想を加速させるためのICT環境整備が急がれています。「家庭でも繋がる通信整備」など、世帯所得によって教育格差が生じないための取り組みにも積極的です。

現在は土台作りの段階にあり、土台が完成したならばビッグデータ解析・活用によって、生徒ごとに個別最適化された授業進行や、オンライン授業の常態化などが推進されるでしょう。

高等教育においては、統合イノベーション戦略推進会議が2019年6月に公開した資料にて次のような目標を掲げています。

  • 文理を問わず、全ての大学・高専生(約 50 万人卒/年)が、課程にて初級レベルの数理・データサイエンス・AIを習得
  • 大学生、社会人に対するリベラルアーツ教育の充実(一面的なデータ解析の結果やAIを鵜呑みにしないための批判的思考力の養成も含む)
    出典:AI戦略 2019 ~人・産業・地域・政府全てにAI~

これらを含む目標を2025年に達成することを目指しており、実現すれば日本経済全体でIT人材を大幅に拡充することに成功します。

教育におけるDX推進の課題

教育におけるDX推進の課題

文部科学省が主体となっている教育現場でのDX推進ですが、課題が多く残されています。今後はこれらの課題をどうクリアするかによって、教育におけるDX推進の成果が変わってくるでしょう。

教育側の知識・経験・ノウハウ不足

DX推進によりIT人材を育成するには、教育側に高いITリテラシーが求められます。しかし教育側のITに対する知識・経験・ノウハウが不足しており、効果的なDX推進がかなっていないのが現状です。

2007年から続く調査によれば、「教材研究・指導の準備・評価などにICTを活用する能力」は順調に向上していますが、教育現場のDX推進に最も重要と考えられる「児童・生徒のICT活用を指導する能力」の向上は不十分だと言えます。

出典:文部科学省 教師に求められるICT活用指導力等の向上

インフラの整備

GIGAスクール構想による小中学生への1人1台パソコン配布はほぼ達成しましたが、インフラの整備はまだ十分ではありません。誰もが自宅で使えるインターネット環境、電子教科書の発行、デジタル黒板などオンライン授業の常態化を実現するにはまだ多くのインフラが必要なのです。

これらのインフラ整備には教育側の準備だけでなく、保護者側の準備や合意も必要なため、整備までにはまだ時間がかかるでしょう。

学校/教育機関のあらゆるチャネルをITで効率化するソリューション

学校/教育機関のあらゆるチャネルをITで効率化するソリューション

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まとめ

いかがでしょうか?今回は教育現場におけるDX推進についてご紹介しました。教育現場でのDX推進はビジネスシーン以上に多くの課題が残されています。しかし文部科学省が推進するGIGAスクール構想の実現が本格化すれば、将来的にはIT人材不足など慢性的な問題を解決し、日本経済の活性化につながるかもしれません。

また、小中学校や高校などの公的教育機関だけでなく、塾やスポーツスクールなどにおいてもDX推進が拡大すると、日本の子供たちの学力向上へとつながっていくはずです。この機会に、教育現場におけるDX推進について考えてみましょう。