コミュニケーション不足によるストレスが退職の原因となっていることがあり、対処の必要性を感じていた
以前からストレスチェックの必要性を感じることはありましたか?
2015年にストレスチェックが義務化されるまでは、特に社員に対してストレスケアのようなことは行っていませんでした。
しかし、毎年数名ほど、自己都合での退職を申し出る社員がいたのですが、その原因の一つとして社内の人間関係にあることが発覚しており、対応が求められていました。
そのため、退職や休職を決意する前にストレスチェックを受けさせ、人間関係のストレスを解消させてあげることができないかと考えていました。
こころの健診センターを選んだ理由はなんでしょうか?
弊社が契約している社会保険労務士事務所から紹介されました。他にも、いくつかストレスチェックのサービスを候補に挙げていただいたのですが、嘱託産業医の先生とも相談して、ストレスチェック義務化対応のクラウドシステム「こころの健診センター」の導入を決めました。
その際、一番の決め手になったのは、初めての導入でいろいろと不安を感じているなか、事前の説明を熱心に行っていただいたことです。
ストレスチェックを実施するにあたり、苦労したことはありましたか?
工場で働く社員は、専用のパソコンもメールアドレスも持っていません。そういった社員に対する実施方法が課題となりました。
彼らには紙で通知をし、複数の社員でパソコンを共有して受診してもらうことにしました。
社員が抱えるストレスの原因を突き止め、
高ストレスを抱えている社員にはカウンセリングを受けてもらった
ストレスチェックを行った結果、どういったことがわかりましたか?
集団分析の機能を使った結果、全社員が抱えるストレスの数値は、全国平均よりは低かったのですが、部署別に見てみると、やはりストレスが高くなっている部署からは退職者が多いということが見えてきました。
また、部署に関係なく、自分の仕事に対してやりがいを感じていない人ほどストレスが高いということもわかりました。
部署によってストレスの原因にちがいはありましたか?
全社的には、ストレスの原因は人間関係に関する悩みが多かったです。部署別では、工場で働く社員にとってのストレスは、一日中一人でもくもくと作業を続けていることで人と人とのコミュニケーションが少ないことが原因でした。
一方で、オフィス業務が中心となる社員が抱えるストレスの原因は、上司との人間関係にある場合が多いことがわかりました。
ストレスの数値が高かった社員にはどのような解決策を考えましたか?
ストレスの数値が特に高い社員には、産業医からのカウンセリングを受けてもらい、早期にケアを行うことにしました。弊社の産業医は専門が精神科なので、ストレスケアには積極的です。
ただ、ストレスケアはプライベートな問題なので、あまり人に知られたくない人もいると思います。ストレスの数値が高かった社員に、カウンセリングを希望するかどうかを聞いても、なかなか実際の面談まで進むケースは少なかったのです。
そこで、社員がカウンセリングを受けやすいと思えるような工夫も行っています。たとえば、当初はメールでカウンセリングの受診を薦めても、実際にカウンセリングを受けるには直接総務に電話を掛けて時間や日程の調整を行う必要がありました。しかし、現在ではプライバシーに配慮して、パソコンから直接カウンセリングの予約ができるようにしました。
他にも、カウンセリングを受けやすくする工夫を考えていますか?
弊社は日本全国に工場や事業所がありますが、産業医の先生は本社がある大阪にいるので、カウンセリングを受ける場合は必ず大阪に来ないといけません。そのため、仕事の都合がつかなかったり人目が気になったりして、カウンセリングが受けにくいということもあります。そこで、今後は電話やテレビ会議でもカウンセリングが受けられるような工夫をしていきたいと思っています。
他にも、社外で開催されるストレスケアに関するセミナーにも、積極的に参加してもらおうと考えています。これまでは、そういった研修は若手社員にしか実施していないのですが、年齢や役職ごとに研修や講習を受けた方がいいと感じています。
ストレスの原因となる社員間のコミュニケーション不足を解消するため、
サークル活動などを推奨することに
ストレスチェックを有効に実施するためにはどうすればいいと思いますか?
ストレスチェックによる結果は、数字でしか見られません。それだけでは判断できないことも多いので、今後は日頃から社員のストレスがチェックできる取り組みも必要かと思っています。また、年1回の実施だけではなく、季節の変わり目や新プロジェクトの立ち上げ時など、さまざまな環境変化の影響も考えて柔軟に実施していくことも必要だと感じています。
私たち、健康推進チームはいつも本社にいて、工場などにも行ったことがありません。そのため、定期的にさまざまな職場を訪問し、現場の方々から直接話を聞くことも大事だと感じています。
社員同士でコミュニケーションがとりやすくなる働きかけも考えていますか?
産業医の先生との相談で、社内で取り組める職場改善プログラムの実施も検討しています。たとえば、終業後のサークル活動としてみんなでヨガやスポーツをするとか、コミュニケーション活動の提案を受け付ける窓口を設けるなどを考えています。
また、同世代でのコミュニケーションはそれなりにとれていると感じているのですが、各世代の社員が一緒に体験できるようなコミュニケーションの場もできればいいなと思っています。本社と工場など離れた地域間でのコミュニケーションも必要です。
今後は風通しがよく、誰でもが働きやすさを感じる職場づくりをめざしていきたいと思っています。
今後、こころの健診センターをどのように活用させていこうとお考えですか?
こころの健診センターを導入して実行するまでの1カ月間は、いろいろと大変な作業もありました。しかし、パイプドビッツさんには何度も東京から大阪まで来ていただいて、ご指導をいただけました。一度導入してしまえば以降はスムーズに運用できるので、今後は管理職のストレス分析なども含めて、より詳細なストレス分析に役立てたいと思っています。
役員からも、このような取り組みや対策は今後も積極的にやっていきなさいと、理解を得ています。