(2023年11月15日掲載)
※企業情報・肩書などを含め、本事例ページに記載された内容は取材当時のものです。
導入事例
CUSTOMERS
SPIRAL® ✕ eKYCの口座開設システムで
非対面取引も安心&充実!
口座開設のリードタイムを80%削減、開設数は約1.5倍に増加
インタビュー
INTERVIEW埼玉県を中心に99店舗を持ち、「地域共存」「顧客尊重」の経営理念のもと、地域経済・社会への貢献を果たし続ける株式会社武蔵野銀行。同行はお客様のさらなる利便性向上のため、SPIRAL® で口座開設システムの開発をおこないました。今回は営業統括部 営業企画室の竹田麻美様に、SPIRAL® 導入の背景や導入後の効果についてお話を伺いました。あわせて、今回のプロジェクトを支援いただいた、ちばぎんコンピューターサービス株式会社の営業本部 法人営業部 木内一輝様のコメントも紹介します。
既存アプリでの相応の保守コストと、長い口座開設時間。
運用側にもお客様にも大きな負担がかかっていた
SPIRAL® 導入の背景を教えてください。
私の所属する営業企画室は、お客様へよりよいサービスを提供できるよう、さまざまな企画立案をおこなう部署です。現在は、預金サービスの企画や、デジタルサイネージの広告運営などを担当しています。
当行ではもともと独自の口座開設アプリで預金口座の開設を受け付けていたのですが、この口座開設業務において、3つの課題を抱えていました。
1つ目の課題は、口座開設アプリの保守・管理費用が相応に発生していたことです。基本の運用・保守の他、いろいろな追加コストも発生していました。例えば、スマートフォンのOS更新対応費やアプリ上でのポップアップ告知費用、毎年のアプリ運用の更改費用など…。保守費用だけでかなりの負担だったので、例えばアプリ上で何か新しい施策を展開したいと思っても、気軽にできる状態ではありませんでした。
2つ目の課題は、口座開設のフローが、バックオフィスの担当者にとって大きな負担になっていたことです。
以前は口座申請の内容にミスがあると、バックオフィスの担当者がお客様に確認の電話をかけていました。平日の日中はなかなか電話がつながりにくいので何度もかけ直しが必要なことも多く、お客様にも負担がかかっていたと思います。
また、本人確認の手間も大きかったです。以前は「本人限定郵便」でお送りするキャッシュカードの受取が確認できた時点で「本人確認済」のステータスとなり口座の利用が可能となっていたので、バックオフィスの担当者は本人受け取りが完了したかを郵便局のWebサイトから手作業で追跡する必要があり、非常に大変でした。
3つ目の課題は、煩雑な口座開設フローが影響し、口座開設の申し込みから完了まで1〜2週間もかかっていたことです。手続きに時間がかかるほか、キャッシュカードが届くまでお客様は口座を利用できないため、「遅いので他行で口座を作った」とキャンセルされてしまうケースもありました。大切なお客様を逃してしまうだけでなく、提出された個人情報を勝手に破棄することもできないため、情報管理の負担も発生しておりました。
こうした課題を解決すべく、新たに口座開設システムの開発を検討することにしました。
SPIRAL® を基盤にeKYCサービスやTSUBASA Fintech共通基盤と連携した
口座開設システムを新たに開発。アプリからブラウザへの移行を図った
新たなシステム開発の基盤に、SPIRAL® を選んだ決め手を教えてください。
SPIRAL® を選んだ一番の決め手は、金融機関への導入実績が豊富だったことです。ほかの地方銀行への導入実績が多く、銀行特有の慣例などにもきめ細かく対応してもらえそうだと考えました。
また、アプリではなくブラウザでの開発ができる点も重要でした。アプリの場合、前述のとおり保守・管理の費用が大きかったですし、お客様からも「いちいちダウンロードするのは面倒だ」というご意見をいただいていたこともあったので、一連の申請はブラウザ上でできるようにしたいと考えていました。この点SPIRAL® は、画面設計の自由度も含め全く問題なく対応できると思いました。
加えて、SPIRAL® は柔軟にシステム連携できる点も決め手のひとつです。eKYC(※1)サービスとの連携により本人確認の時間短縮が実現できる点や、TSUBASA Fintech共通基盤(※2)との連携により当行のオンラインサービスで利用できる「むさしのID」という共通IDが、口座開設と同時に自動発行できる点も大きなメリットでした。
※1:eKYCとは オンラインによる本人確認のシステム。
※2:TSUBASA Fintech共通基盤とは TSUBASAアライアンス(地域トップバンク10行による国内最大規模の広域連携の枠組み)に参加している地方銀行と、T&Iイノベーションセンター株式会社が共同で構築したオープンAPI基盤のこと。
SPIRAL® 導入で保守コストが半減。
口座開設期間も約80%削減し、運営・お客様双方にとって
スムーズな取引が可能に
SPIRAL® で構築した口座開設システムの導入効果を教えてください。
元々抱えていた3つの課題、すべてに対して効果を感じています。
まず、口座開設システムの保守コストは、以前の半分以下に削減できました。ブラウザでの申請に移行したことで、OS更新対応などアプリで必要だった保守・管理が一切不要になり、大幅なコスト削減につながっています。
次に、バックオフィスの業務も大きく効率化しています。例えば、これまで本人限定郵便の受け取りをもって完了していた本人確認が、eKYCサービスのおかげで申請した時点で完了できるようになったことで、郵便の追跡作業が無くなりました。申請不備による差し戻し業務も電話ではなくメールでできるようになったので、電話がつながらないことで業務が滞ることが無くなりましたね。口座開設に係る業務時間を削減できた分、現在はほかの業務に時間を充てることができるようになりました。
最後に、口座開設の申し込みから完了までのリードタイム問題も大幅に短縮しました。特に、申請と本人確認が同時に完了できるようになった点は大きな収穫です。口座番号を先に発行・通知できるようになったので、お客様はキャッシュカード到着前でも給与振込先の登録などの手続きが可能になりました。
リードタイムを大幅に短縮できたことで、お客様をお待たせせずに済むようになったのですね。
はい。これまで本人確認含め1〜2週間かかっていた口座開設が、最短で翌営業日に完了するようになりました。数字にすれば最大80%の削減です。スピーディーな対応が可能になったことで、口座開設の途中キャンセルもほぼなくなりました。お客様の満足度向上にもつながっていると思います。
SPIRAL® の口座開設システムに移行後、口座の開設数も増加したと伺いました。
はい、大幅に増加しました。2023年春にこの口座開設システムの運用を開始しましたが、昨年の同時期に比べ、開設数が約1.5倍と予想以上の増加でした。新システムでは既存顧客からの追加口座開設を受け付けた影響もありますが、それでも予想以上の成果です。ユーザビリティが向上した結果、謝絶や不備なく口座を開設できた割合も、約70%から約85%に上昇しています。
今後の展望と、SPIRAL® への要望があれば教えてください。
当行では、今後もさらなる顧客満足度・利便性向上のため、口座開設に限らず多くの取引をWebでおこなえるようにしていきたいと考えています。現在、口座開設はブラウザ、開設後の残高確認・振込などは武蔵野銀行アプリと棲み分けていますが、一元化することで利便性の向上を目指します。
スパイラル社の対応には非常に満足しています。システム構築時はこちらの細かな要望にも臨機応変に対処してくれましたし、運用中の現在も困ったときは親切に対応していただけています。これからもさまざまな分野の課題解決に向け、伴走していただきたいと思っています。また、私たちとスパイラル社の間に入り開発の支援をいただいた、ちばぎんコンピューターサービス様のご協力にも感謝しています。
今回、口座開設すると同時に「むさしのID」が自動的に発行されるようになったことで、武蔵野銀行アプリの利用者も増加しました。世代を問わず皆さまに使っていただけるよう、今後も機能を充実させ、登録を促進したいと考えています。銀行での手続きは今後さらに非対面取引が主流になっていくかもしれませんが、顧客接点を持ち続けていくためにも、私たちはお客様との対話を大切にする銀行でありたいと思っています。
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ちばぎんコンピューターサービス株式会社
営業本部 法人営業部 木内一輝様より予算・リリース時期が決まっており、限られた条件の中でしたが、スパイラル社よりどうすれば良いかの前向きなご提案・ご対応をいただき、プロジェクトを完遂できました。 銀行はお客様の個人情報を取り扱うサービスのため、高いセキュリティレベルを求められます。しかしSPIRAL® であれば、セキュリティを担保しつつ、ローコストでシステム構築が可能です。この点が、非常に魅力的だと感じます。