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FPSO事業における世界初のプロジェクトボンドを支える投資家専用サイトをSPIRAL®で構築。月30時間のメール対応を1/6に削減し、より良質な情報発信が可能に

三井海洋開発株式会社

業務内容
浮体式海洋石油・ガス生産設備(FPSO、FSO及びTLP等)の設計・建造・据付、販売、リース及びオペレーションサービス
使用サービス
SPIRAL® ver.1
URL
https://www.modec.com/jp/
代表者
代表取締役社長 宮田裕彦
本社
東京都中央区日本橋二丁目3-10 日本橋丸善東急ビル4階・5階
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課題
FPSO事業に対する世界初のプロジェクトボンドを発行。当社においても初の取り組みに対し、投資家からの問い合わせが殺到。月約60件/30時間の個別対応が業務時間を圧迫することとなり、効率的・効果的に対応できる体制作りが急務となった。
解決策
SPIRAL®で会員制の投資家専用サイトを構築。情報を一元公開し、公平かつ効率的に発信
効果
個別対応が激減し、業務・心理両面の負担を削減。余力をより良質な情報発信に活用

インタビュー

INTERVIEW

世界中の石油会社に対し、FPSO(Floating Production, Storage and Offloading system:浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)をはじめとする浮体式生産設備の建造から洋上でのオペレーション&メンテナンスにわたるトータルサービスを提供している三井海洋開発株式会社様。近年、FPSO事業に対しては世界初となるプロジェクトボンド発行による資金調達(ボンドファイナンス)に取り組んだプロジェクトでは、定期報告送信や投資家からの想定以上の問い合わせ対応が大きな課題となりました。多様で膨大な数の問い合わせと高度な情報開示要請にどう応えるか。その解決策としてSPIRAL®を活用した投資家専用サイトの構築を選択されました。今回は、構築した投資家専用サイトを運営するリース・ビジネス&オペレーション・サポート部(以下「LBOS部」)の髙室裕光様にお話を伺いました。


FPSO事業では世界初のプロジェクトボンド発行で投資家からの問い合わせ対応が急増。月60件/30時間のメール対応が業務を圧迫

LBOS部の役割を教えてください。

私たちが担っているのはFPSOの操業や事業運営の部分です。FPSO1基を保有・チャーターするにあたり、総合商社や商船会社に出資していただき、そこに弊社も出資する形でSPC(特別目的会社)を作ります。LBOS部の主な仕事は、そのSPCの運営です。出資してくださった会社とともにFPSO運営の方向性を折衝したり、現地で実際オペレーションをする弊社の子会社と出資会社との橋渡しをしたりしています。

どのような課題をお持ちでしたか?

FPSOの資金調達の仕方としては、銀行からの融資が一般的です。しかし、当社保有FPSOの一つである「MV24」に関しては、SPCの社債を発行して投資家に買っていただく形を取っています。実は、FPSO業界においてこの資金調達の方式を採用したのは「MV24」が世界初なのです。そのため、海外の投資家からも非常に注目を浴びており、日々多くのアクティブな投資家からさまざまな問い合わせを受けています。

当初は、定期的なレポートなど投資家向けの情報提供はメールでおこなっていたのですが、情報を一つ出すと、それに対して複数の投資家からの問い合わせメールが何十通も届いていました。多い時には一月あたり60通ほどのメールに個別に返事をしなければならないような状態でした。レポートに関するより詳しい質問や、情報提供した内容から派生した新たな質問など、個別対応が必要な質問が多く到来するものの、ボンド=金融商品である以上、全ての投資家に対して公平に・均質な情報を与えなければならないという原則から、回答する情報のレベルと質を入念に精査する必要もありました。さらに投資家はすべて海外投資家のため返信も英語になるので、誤解が生じる表現になっていないか、宛先に誤りがないか、常に緊張し、神経をとがらせていました。また、有意義な問い合わせメールばかりではなく、「○○のレポートをなくしたから再送して」「MV24の契約条件をもう一度教えて」といった初歩的な依頼が非常に多いことも業務のネックになっていました。

さらに、当社の後に続き、世界の競合他社も同じくプロジェクトボンドを発行するようになったのですが、他社と比較して当社のBond IR体制の弱さを指摘する声もいただいたため、早急に体制作りの検討に入りました。

SPIRAL®で投資家専用サイトを構築。情報を一元公開し、公平かつ効率的に提供

どのようなシステムを構築しましたか?

会員登録をした投資家のみがアクセスできる投資家専用サイトをSPIRAL®で構築しました。そこにMV24に関するFAQや定期レポート、格付け情報などを公開することで、投資家がいつでも自分で必要な情報を探せるようになりました。新しい情報を公開した際はSPIRAL®からメールで通知しており、公平な情報共有にもつながるのではないかと考えています。

また、SPIRAL®の管理画面は当社広報部門が管理し、Webフォームやメール配信など多岐にわたって使用していましたが、「MV24投資家専用サイトに関わる作業はLBOS部で実行し細やかに情報発信ができることが望ましい」と考え、LBOS部署専用の管理者ページも作ることにしました。これにより、レポートの公開や削除、お知らせの投稿、会員登録の承認や会員一覧の閲覧などを、広報部門のSPIRAL®使用タイミングを気にせず、LBOS部で適宜実行できるようになります。ちなみに、会員登録の承認とは、競合他社による情報収集のための会員登録を避けるため、会員登録フォームからの申請内容をLBOS部が確認し、承認または否認できる仕組みにしたものです。

会員専用ページと管理者ページの同時公開を目指す場合、納品までの時間が長くかかるとの説明を受けたのですが、ニーズの高い会員専用サイトは早期に公開したかったこと、次のレポート発行まで2〜3か月時間があったことから、第1フェーズとして会員専用サイトと会員登録申請ページを先行公開することを目指し、構築を開始していただきました。会員専用サイト公開後、LBOS部管理者ページ完成までの間にデータ登録や更新が必要となった時は、スパイラル社と弊社の広報部門に協力して対応してもらいました。その間に第2フェーズとして管理者ページを構築していただき、無事に投資家専用サイトが出来上がったのです。



三井海洋開発 フロー図

SPIRAL®を導入された経緯を教えてください。

弊社では、10年以上前からSPIRAL®を導入しており、Webサイトからの問い合わせフォームや社外向けアンケートフォーム、メルマガ配信に活用していました。MV24についても、プロジェクトボンド発行後は問い合わせフォームにMV24に関する選択肢を設け、投資家からの問い合わせの最初の窓口としていました。そのため、「MV24の投資家専用サイトを作りたい」と相談した際、広報部門からSPIRAL®で会員専用サイトも作れるようだと提案され、実際にスパイラル社に相談したところ、「SPIRAL®のアプリで構築できる」と確認できました。加えてこちらの「可能な限り早く、安く作りたい」という要望にも柔軟に応えていただけることから、SPIRAL®での構築を決めました。

投資家への個別対応が激減し、業務・心理両面の負担を削減。余力を投資家向け情報発信の質の向上に活用

導入後、どのような変化がありましたか。

最大の成果は、投資家への個人対応の必要が激減したことです。会員専用サイト構築前に届いていた投資家からの問い合わせメールが月60件もあったのは、ちょうど「MV24」に関して発信すべき情報が多かった期間でもあったのですが、現在は月10件ほどまで減っているので、大きな成果が出ていると言えます。メールへの返信は、長いときは1件につき30分程度かかっていたため、約30時間もメール対応に費やしていた計算になります。それが月10件、約5時間まで減ったのは素晴らしいですね。また、FAQや過去のレポートなどは、投資家専用サイトに公開しており、会員登録した投資家はいつでも自由に閲覧できるので、それらに関する問い合わせがほぼゼロになったのも嬉しいことです。なんといっても心理的にも非常に楽になりました。メールを書く量が減り、送信先を何度も確認してから送信ボタンを押す重圧もなくなりました。今はPDFをサイトにアップロードし、更新があれば即時に差し替えるだけです。そういった気持ちの負担が減ったのは非常に大きかったです。

また、メール対応の時間が減った分、実りのある議論に時間を使えるようになり、「もっとこんな情報も載せよう」「投資家向けにこのような対応もしていこう」と、よりプロアクティブに改善を検討・実行する時間を持つことができ、結果として投資家にMV24というプロジェクトを効果的にアピールできるようになったのが何よりもメリットだと感じています。

お客様からの反応はいかがですか?

非常に好評です。「このサイトの機能が素晴らしいね」「情報を見つけやすくなって助かったよ」といった反応が寄せられています。そういった声の後に「ところで、この情報をもっと詳しく教えてほしいのだけど」と次の依頼が一緒に書いてあるのですが(笑)。ただ、投資家のみなさんにとっても、知りたい情報をより早く、深く手に入れられること、それを通じてこのMV24プロジェクトボンドに対する理解を深めていただけることは本当に大きいメリットだと思います。

今後の改修の予定があれば教えてください。

投資家は「もっと情報が欲しい!」と希望される方が多いです。今も「他の投資家とのやり取りを載せてほしい」「レーティング格付け会社がどのように考えて格付けしているのか、動画で見せてほしい」といった要望が寄せられています。現状公開している情報はPDF(文書)のみですが、データ形式を増やし、動画なども公開できるようにしたいと考えています。そうした改修をしながら、より充実した情報提供ができるようになればいいなと思っています。

(2025年10月21日掲載)
※企業情報・肩書などを含め、本事例ページに記載された内容は取材当時のものです。

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